bungeling999のブログ

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「新黒沢 最強伝説」ホームレス編・・・これから正義の話をしよう!!って感じで目が離せない

 「新黒沢 最強伝説」がホームレス編になってから、俄然読み応えもあり目が離せない。

 若干のネタバレも含めてざっとあらすじを書くと・・・

 

 

いろいろあってホームレスになった黒沢は「先生」と一緒に河川敷のグランドで暮らしている。試食品売り場をまわって黒沢の分も食料を調達してくれる「先生」が通風で動けなくなり、黒沢は自分が試食品売り場をまわる。食料調達は順調に進んでいたように思えたが、最後によった店で川藤という中年の店員に黒沢は捕まる。試食品をめぐって川籐と大立ち回りを演じた黒沢は結局、集めた試食品全てを失意のまま「先生」のところに戻る。

 ざっとこんな話だ。さて、話の中でポイントを書こう。

 第一は、黒沢から試食品を取り上げたスーパー店員の川藤である。彼は何をやってもうまくいかない自分の不遇を、自分より弱い黒沢の小さな不正義(試食品の持ち逃げ)を指摘することで鬱憤をはらそうとする。

 第二はホームレスの先輩である正体不明の「先生」である。この先生は、試食品の全てを失って失意の黒沢に本当に辛いのはたぶん自分たちではなく川藤のほうだ、彼は今回のことで職も失ったに違いない、と言う。

 第三は、黒沢自身だ、彼は川藤に不正義を指摘されたとき、小さな正義を振りかざして自らの鬱憤をはらそうとする川藤に正面から、彼の正義は誤りであると欺瞞性を指摘する。中年になり、アルバイトのスーパー店員としてうまくやれず忸怩たる思いをもつ川藤と自分(黒沢)は仲間ではないか、と正面から指摘する。

 なんとも大事な話ではないかと思う。作者の福本伸行氏は日本社会のマクロレベルで進行してきたイデオロギーの問題点をミクロな話でうまく指摘することに成功したと思う。とりわけ、自分のおかれた境遇の不遇さへの鬱憤を晴らすために小さな正義を振りかざし、弱い人間をたたくことの愚かさを正面から書いたことは大事な点であり読むものの感動を呼ぶ。君のその「正義」は本当に正義かい?という問い。

 安定して生活設計が難しくなったもとで、私たちが考えねばならないものは何か?こたえは千差万別だとしても「新黒沢」は読むものを哲学させながら感動させる漫画である。