京都在住シングルファーザーおじさんのつれづれ雑記帳

京都在住おじさんによる匿名の日記です。ネットのすみっこでひっそりと生きています。ただいまシングルファーザーとして生きてます。備忘録ブログ

「僕たちがやりました」は現代の罪と罰か?最終話「 ただそれでもいつかもし」の雑感。

    
 連載開始時からずっと毎週楽しみに読んできた「僕たちがやりました」(金城宗幸/荒木 光)がついに最終回になりました。
 当初コミカルなギャグ漫画かな?いや喧嘩漫画?とみせつつ・・・平凡な少年たちが自覚のない「間違い」により重大犯罪を犯す。その罪の大きさと、少年たちはどうむきあうか?というなかなか重たいテーマでした。漫画として、話のさばき方、深め方にずっと引き込まれていたし、ここ数年のヤングマガジンの漫画の中で僕の中では読みながら自分の中で思考ができる、読者の側も深まっていく珍しい漫画でもありました。同時に絵や展開にヤングマガジンらしい、勢いやコミカルさといったものも持ち合わせているところもよかったと感じています。
 さて、最終回の感想ですが、結論から言えば大人になった少年たちは、あの出来事をみな引きずって生きており、あがいています。それぞれの立ち位置や性根も大きく変わることはない。ただ、そのそれぞれの性根を抉り出したのが、あの事件だったという決定的事実、逃れられない現実。もし事件がなければこの日常はまったく別のものだったに違いない、いやもしかしたら事件がなくてもこうだったのかもしれない。そこの判断は読者にゆだねられるところです。個人的にはその部分を最後もう少し描いて、重たさ、振り切れなさ、しかし、残されたもの(の一部)はそうした過去を振り切り、あるいは気にもとめずにすすんでいく残酷さ、をもう少しはっきりとえぐってほしかったとは感じました。そうしてこそ、前向きに生きるしかないというパイセンの思い、過去に引きずられるトビオの思い、事件で性根をさらけ出し「強く」より「残酷」になったマルの思い、伊佐美の思い、をまとめることもできたのかな?と少し感じました。つまり、僕たちがやりました、は現代の「罪と罰」が描きたかったのかなとも最後少し思ったわけです。
 というわけでとてもいい作品なので、ロシア文学系が好きな漫画読みなら読むのは必須だと思います(勝手に)。