京都在住シングルファーザーおじさんのつれづれ雑記帳

京都在住おじさんによる匿名の日記です。ネットのすみっこでひっそりと生きています。ただいまシングルファーザーとして生きてます。備忘録ブログ

アマゾンプライムの「三体」視聴完了。手塚治虫の「ワンダー3」を思い出した。

アマゾンプライムで見始めたテンセント版の「三体」。ついに視聴完了です。30話を一週間ほどで視聴…まぁ僕にしたら普通のペースですかね(笑)

 

2007年、北京オリンピック開催間近の中国。ナノ素材(マテリアル)の研究者・汪淼(ワン・ミャオ)は、突然訪ねてきた警官・史強(シー・チアン)によって正体不明の秘密会議に招集される。そこで世界各地で相次ぐ科学者の自殺と、知り合いの女性物理学者の死を知らされた汪淼。一連の自殺の陰に潜む学術組織“科学境界(フロンティア)”への潜入を依頼された彼は、科学境界の“主”を探るべく、史強とともに異星が舞台のVRゲーム「三体」の世界に入るが、そこにはある秘密が…。© TENCENT TECHNOLOGY BEIJING CO., LTD.

 

いやぁ、後半はペースがまた一気にあがってしまいました。最後はガッツリ面白かったです。人間への失望と人類の科学文明への警鐘というテーマですが、それをSFとして相当レベルの高いものとして仕上げています。文化大革命も、資本主義も、イデオロギーに関係なく人類は同じように自分(とそのまわり)さえよければいいと「利己的」に動き、その結果がこの状況を生んでいるという部分、これは古典的で根源的な人類への問いですが、人間である以上は必ず考えるべき問題だと思います。むしろ自然科学から見たときに「弱肉強食」は、まったく法則たりえませんからね。現実の自然は驚くほど調和と相互依存で成り立っていて「弱い」他の種を絶滅させるような種は、むしろ淘汰され存在できなくなるわけで…。そして、若干のネタバレ有りですが、宇宙人とはどういう存在か?宇宙の中で他の知的生命体が持ちうる哲学はどうなるか?という部分の意欲的な考察がこの「三体」の物語の魅力的な部分であるのです。僕はどちらかというと古典的に人類と次元の違う知的生命体のもつ倫理観は、非常に高いのではないか?と勝手に考えていた節がありました。つまりですね、ある種の手塚治虫の「ワンダー3」的な宇宙人観ですね↓

でも「三体」が示す現実は、宇宙はわたしたち地球人が思っている以上に過酷な世界だという指摘です。その中で育ってきた知的生命体は果たしてどんな倫理観を持つのか?自分たちの「種」を生かす、守るという点において地球人の想像以上に利己的な存在として「三体人」は登場します。そしてそれは第一部のラストにおいて決定づけられます。自分でどう思っているかは別にして、私たちの能力も思考も、大きな環境に決定的に左右されています。自分で決めれることは僅かで、人は生まれつき基本的に不平等です。それを宇宙レベルでみたらどうなるか?という思考実験を「三体」はしているようにも思うのです。そして科学には哲学が必要だということも「三体」をみると考えざるをえませんね。「三体」が示すように、人類に絶望した未熟な人間が決定権を握った時に恐ろしい結果が待ち受けています…。