新川直司「4月は君の嘘」、一日で一気読みしました。
一日で一気読みしたのはホントに久しぶりじゃないかなぁ。とにかくスピード感のある展開でグイグイ読ませる作品ではありました。
話としては音楽をやめた天才の主人公有馬公生が、バイオリニストの少女と「偶然」出会い、音楽の仲間、そして幼なじみたちの支えによって、音楽を取り戻して成長していく濃密な1年間の物語です。タイトルにみられるように「嘘」が一つのキーワードになるわけですが、この「嘘」やストーリーが早めに見えてきても話はまったく色あせずに、むしろストーリーの全体像が読み手の中にリアルに映るようになってから、話にグイグイと引き込まれる作品です。
この物語が切なくもひたすら美しい物語としてリアリティをもっているのは、主人公たちの年齢設定をすべて中学3年生と設定していることのように思います。主人公たちは恋もしますし、すれ違いもあるし、誰かを傷つけることもします。しかし、そのすべては爽やかに描かれています。僕は主人公を誰よりも思う自分の感情をコントロールできない、葛藤する澤部椿の存在がとてもお気に入りです。少年少女も大人も、恋は思案の外であり、その感情のコントロールなどできないものだけど、それでもその葛藤もあまりにも美しい。椿の先輩とのプラトニックな恋愛とその破綻のエピソードも、中学三年生という設定があってこそのリアリティです。しかし、大人としては逆にそこに引き込まれていく。。。
ま、しかし、大人だったらこうはいかないです・・・それは知ってます(笑)