ガンチャンで公開されていた、「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」を全話ユーチューブで見ました。
キャッチコピーはずばり「ある日、少年は”戦争”と出会った」です。
数あるガンダム作品の中でも異色の傑作というこの作品をはじめてみました。
これはすごい・・・モビルスーツの戦闘を一つもカッコよく描いていません。「戦争」の悲惨さを際立たせるために戦闘を描く異色のガンダムです。ニュータイプもエースパイロットもでてきません。バーニー以外の中立コロニーに潜入するジオンの工作員たちはモビルスーツのパイロットとしても優秀な設定ですが、活躍の場すら与えられません。多くの人が真実を知らないままというストーリーも残酷で戦争というもののリアルさを感じさせます。
もともとガンダムというのは、戦争の悲惨さを描くというテーマももっていたと思います。ファーストガンダムで忘れられないのは、やっぱりアムロが母親との出会い、そこで敵を撃つ軍人として生きているアムロをみて、母親が絶望で泣き崩れるシーンです。子どもながら、あのシーンは衝撃的でした。自分や祖国を守るためのたたかいといったって、相手にも祖国や守るべきものが、正義があるのです。その当たり前のことを正面からみせてくれたガンダムはやはり秀逸な作品です。
そしてポケットの中の戦争は、戦争のそういった部分を徹底して追及しています。中立コロニーで暮らす無邪気な少年は、悪意なきまま、戦争に巻き込まれていく。まるで子どもが秘密基地をつくって遊ぶような感覚で戦争にまきこまれていくのです。そして、誰も望まなかった悲惨な結末。
多少のネタバレになりますが
(気になる人は以下みないで)
バーニーは・・・無駄死になのです・・・最後の彼の行動はまったく必要などなかったのです。それは、実は現実の兵士たちの姿につながります。そこが圧倒的な物語です。バーニーの存在が失われたことすら主人公のアル以外は知りはしない。とても淡い恋心をもっていたクリスは自分の手で、その人を殺したことさえ知りもしない・・・戦争って、必要悪でも人間の本質でもなんでもない。「国を守る」とか「家族を守る」という美辞麗句なんて、結局のところ利用されているだけです。